「部屋を広く使いたい、でも毎日の睡眠の質は絶対に落としたくない」この相反する願いを両立させるのは、
簡単なことではありません。そんな悩みを解決する選択肢として注目されるのが、折りたたみベッドです。
しかし、その手軽さの裏で、寝心地について不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
「折りたたみベッドは便利そうだけど、腰痛が悪化しそう」「結局、安物買いの銭失いになるのでは?」そんなデメリットへの不安から、購入に踏み切れないでいませんか。この記事では、ニトリの人気モデルから最高級品、布団を乗せたまま使える便利なタイプまで、あなたの不安を解消し、後悔しないおすすめの一台を見つけるための全てを解説します。
記事のポイント
- 寝心地を左右するマットレスやフレームの選び方
- 腰痛を防ぎ、快適な睡眠を得るためのポイント
- 人気ブランドや機能性に優れたおすすめ製品
- 購入後に後悔しないための注意点やデメリット
折りたたみベッド寝心地重視で選ぶための基本

寝心地の基本はマットレスの硬さで決まる

折りたたみベッドの寝心地を決定づける最も大きな要素は、マットレスの硬さ、すなわち反発性です。マットレスは主に、体を押し返す力が強い「高反発」と、体にフィットする「低反発」の2種類に分けられ、それぞれに全く異なる特性があります。
高反発マットレスの特徴
高反発マットレスは、その名の通り、体を押し返す力が強く、しっかりとした支持力が最大の特徴です。体がマットレスに沈み込みすぎないため、睡眠中に背骨が自然なS字カーブを保ちやすくなります。また、強い反発力は、まるでマットレスが体を軽く押し上げてくれるように作用し、寝返りに必要な力を最小限に抑えてくれます。寝返りは、睡眠中に体の特定の部分に圧力がかかり続けるのを防ぎ、血行を促進することで、睡眠の質を高める重要な役割を担っています。このため、高反発マットレスは、朝起きた時の体の痛みやだるさを感じにくい、すっきりとした目覚めをサポートしてくれるのです。
低反発マットレスの特徴
一方、低反発マットレスは、体の形や重さに合わせてゆっくりと沈み込み、まるで包み込まれるような独特のフィット感が得られます。体圧を均等に分散させる能力に優れているため、横になった瞬間は非常に心地よく感じられるかもしれません。しかし、その「沈み込む」特性が、寝返りを打ちにくくさせる一因ともなります。体がマットレスに固定されるような感覚になるため、無意識のうちに寝返りの回数が減り、結果として血行不良や体のこわばりにつながる可能性も指摘されています。
このように、寝心地の良さは、最初の「気持ちいい」という感覚だけでは測れません。一晩を通して体をしっかりと支え、自然な寝返りを妨げないかどうか。自分の体格や睡眠の癖に合った反発性のマットレスを選ぶことが、快適な睡眠環境を実現するための第一歩となります。
腰痛持ちなら高反高反発マットレスが最適解

腰に慢性的な痛みを抱えている方にとって、マットレス選びは日々のコンディションを左右する、極めて重要な選択です。一般的に、腰痛対策としては、体をしっかりと支える高反発マットレスが適していると考えられています。
その理由は、高反発マットレスが持つ優れた支持力と、理想的な寝姿勢の維持能力にあります。立っている時、私たちの背骨は重力に対抗して頭を支えるため、緩やかなS字を描いています。このカーブが、体にかかる負担を分散させる自然のサスペンションの役割を果たしているのです。睡眠中もこのS字カーブを維持することが、腰への負担を最小限に抑える鍵となります。高反発マットレスは、体の中で最も重い腰部分が必要以上に沈み込むのを防ぎ、この理想的なS字カーブを正しくサポートします。これにより、睡眠中に腰周りの筋肉がリラックスでき、痛みの緩和につながるのです。実際に、多くの整体師や医療関係者も、腰痛対策には寝返りを妨げない適度な硬さのマットレスを推奨しています。
逆に、低反発マットレスは、腰痛持ちの方にとっては症状を悪化させるリスクがあるため注意が必要です。体が深く沈み込みすぎることで、背骨が不自然な「くの字」に曲がってしまう「ハンモック現象」を引き起こし、かえって腰の筋肉に持続的な負担をかけてしまうことがあります。朝、痛みで目覚めることが多い方は、現在使用しているマットレスが柔らかすぎないか、一度見直してみる価値があるかもしれません。
折りたたみベッドの知っておきたいデメリット

省スペースという大きなメリットを持つ折りたたみベッドですが、購入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためには、いくつかの潜在的なデメリットを事前に理解しておくことが大切です。
最も多く聞かれる不満の一つが、寝返りを打った際などに発生する「きしみ音」です。折りたたみ構造を持つため、通常のベッドフレームに比べて接合部や可動部が多くなります。特に、ベッドフレームの接合部やキャスターの付け根、折りたたみ機構のヒンジ部分などは、負荷が集中しやすく、音の発生源となりがちです。夜中の静寂の中で、寝返りを打つたびに聞こえるこの音は、眠りが浅くなる原因や、中途覚醒につながることもあり、睡眠の質を大きく損なう可能性があります。
次に、耐久性の問題が挙げられます。特に安価なモデルでは、コストを抑えるためにフレームのパイプが細かったり、マットレスに使われているウレタン素材の密度が低かったりすることがあります。その結果、購入後、短期間でマットレスの中心部がへこんでしまい、寝心地が悪化する「底付き感」が出てきたり、体が沈み込むことで腰痛の原因になったりするという声も少なくありません。
また、意外な落とし穴となるのが「折りたたむ手間」という、日々の運用面での問題です。購入時には「毎日たたんで部屋を広く使おう」と考えていても、実際に使ってみるとその作業が面倒になり、結局は広げたままの「万年床」になってしまうケースは非常に多いようです。購入前に、自分の生活スタイルの中で、本当に毎日折りたたむ習慣が作れるのかを現実的にシミュレーションしてみることが重要です。
きしみ音や耐久性など失敗しない選び方

前述の通り、折りたたみベッドにはいくつかのデメリットがありますが、これらを回避し、長く快適に使える製品を選ぶためには、購入前に確認すべきいくつかの重要なチェックポイントがあります。
【購入前チェックリスト】
- 耐荷重は十分か?:最低でもご自身の体重の1.5倍、できれば2倍以上を目安にしましょう。構造的な余裕が、きしみ音の抑制と長期的な耐久性につながります。
- マットレスの品質は?:一体型を選ぶなら、ウレタンの密度(D)が30D以上、硬さ(N)が150N以上かを確認。フレームのみのタイプなら、将来的にマットレス交換が可能です。
- ベッドの高さは適切か?:腰や膝への負担を考えると、床板の高さが30cm以上のハイタイプがおすすめです。立ち座りが格段に楽になります。
- 保証期間は?:メーカーの品質への自信を示す指標です。1年以上の保証があるかを確認すると安心です。
これらのポイントを一つずつ確認することで、失敗のリスクを大幅に減らすことができます。特に耐荷重は、製品の基本的な頑丈さを示す客観的な指標となるため、必ずチェックしてください。マットレスの品質は寝心地に直結し、ベッドの高さは日々の使いやすさを左右します。
布団を乗せたまま使えるベッドの利便性
毎日の布団の上げ下ろしは、特に忙しい朝や疲れた夜には、想像以上に大きな負担となるものです。この日々の面倒な作業から解放してくれるのが、「布団を乗せたまま折りたためる」という画期的な機能を持つベッドです。
このタイプの多くは、ベッドの中央部分からV字型に山折りにできる「すのこ」フレームを採用しています。この機能がもたらす最大のメリットは、朝の片付けが驚くほど楽になる点です。布団をたたんで押し入れにしまうという一連の作業が、ベッドを折りたたむという一つのアクションで完了するため、忙しい朝の時間に大きなゆとりが生まれます。
さらに、この機能は単なる利便性だけでなく、衛生管理の面でも非常に優れています。日本の夏は特に湿度が高く、敷きっぱなしの布団は体から発散される汗や湿気を吸収し、カビやダニが繁殖する絶好の温床となってしまいます。これらはアレルギーの原因ともなり得ます。布団を乗せたまま干せる機能は、ベッドを山折りの状態にするだけで、室内で手軽に布団やマットレスに風を通すことを可能にします。特に湿気が続く梅雨の時期や、花粉・PM2.5などが気になり外干しが難しい方にとって、この室内干し機能は単なる時短だけでなく、健康的な睡眠環境を維持するための強力な味方となります。
ただし、この便利な機能を利用するには、折りたたみに対応した薄手の布団や、柔軟性のあるマットレスを選ぶ必要があります。厚みがあり硬質なマットレスでは、うまく折りたためずにフレームやマットレスを傷めてしまう可能性があるため、購入前に製品説明で対応する寝具の種類や厚みを確認することが大切です。
折りたたみベッド寝心地重視で探すおすすめ製品

寝心地で選ぶ人気のおすすめモデルを紹介

市場には多種多様な折りたたみベッドがありますが、ここでは特に寝心地の良さで評価の高い人気ブランドと、その代表的なモデルの特徴を紹介します。
アイリスオーヤマ
折りたたみベッド市場を牽引する存在であり、機能性に優れたマットレスを搭載した一体型モデルに強みがあります。特に高反発ウレタンを使用した「OTB-KR」などのモデルは、腰への負担が少ないしっかりとした寝心地で、腰痛に悩むユーザーから高い支持を得ています。ユーザーレビューでは「期待以上に腰が楽になった」「リクライニングが便利で、ベッドの上で過ごす時間が増えた」といった声が多く見られ、機能性と快適性のバランスが高く評価されています。指挟み防止設計など、安全性への配慮も行き届いている点も魅力です。
山善
優れたコストパフォーマンスで知られるブランドです。華美な装飾はありませんが、日常使いに十分な実用的な機能を備えながらも、購入しやすい価格帯の製品が多く、安定した人気を誇ります。リクライニング機能付きのモデルでも2万円を切るものが多く、組み立てが比較的簡単な点も評価されています。「価格以上の快適性が得られる」と、ユーザーレビューでも堅実な評価を得ており、初めて折りたたみベッドを購入する方にもおすすめです。
EMOOR
寝具専門ブランドならではの視点で開発された製品が魅力です。特に、フレームとは別に販売されている「折りたたみベッド専用マットレス」は、寝具を知り尽くしたブランドならではのこだわりが詰まっています。高反発ウレタンフォームを使用し、快適な寝心地と、「布団を敷いたままたためる」という利便性を両立させている点が特徴です。寝心地には妥協したくないけれど、フレームはシンプルなもので良い、というように、寝心地を自分自身でカスタマイズしたいユーザーに適しています。
ブランド | 代表モデル例 | タイプ | 特徴 | 参考価格帯 |
アイリスオーヤマ | OTB-KR | マットレス一体型 | 高反発ウレタン、14段階リクライニング、腰痛対策で高評価 | 1万円台後半~ |
山善 | YMC-S(BR)RG | マットレス一体型 | 優れたコストパフォーマンス、リクライニング機能、組み立てが容易 | 1万円台後半 |
ニトリ | ハングJY W100 | フレームのみ | 布団を敷いたまま干せる機能、桐すのこ、サイドグリップ付き | 約2万円 |
Esluve | 折りたたみベッド | フレームのみ | 耐荷重200kgの高い耐久性、組み立て不要、マットレス選択自由 | 1万円台前半 |




ニトリの折りたたみベッドの特徴と評判
「お、ねだん以上。」のキャッチフレーズで知られるニトリは、折りたたみベッドにおいても、非常に豊富なラインナップを誇ります。ニトリ製品の最大の魅力は、なんといっても全国に展開する店舗で、購入前に実物に触れて、寝心地やサイズ感、折りたたみやすさを直接確認できる点です。
ニトリの折りたたみベッドは、大きく分けて2つのタイプが人気を集めています。一つは、通気性の良い桐すのこを使用した「フレームのみ」のモデルです。特に「折りたたみすのこベッド (ハングJY W100)」は、前述した「布団を敷いたまま干せる」機能と、ベッドからの起き上がりをサポートするサイドグリップが付いており、機能性の高さから非常に高い人気を誇ります。自分の好きなマットレスや、長年愛用している敷布団を使いたいユーザーに最適な選択肢です。
もう一つは、マットレスがセットになった手軽な一体型モデルです。シンプルな非リクライニングタイプから、多段階リクライニング機能付き、収納スペースを確保できるハイタイプまで、予算や用途に応じて幅広い選択肢から選べるのが特徴です。製品によっては1年または5年の長期保証が付いており、これはメーカーの品質に対する自信の表れと捉えることができ、購入時の安心材料となります。
評判については、モデルによって評価が分かれる傾向が見られます。評判が分かれる主な理由は、フレームと寝具の相性にあります。例えば、通気性の良いすのこフレームは、それ自体にはクッション性がないため、薄すぎる敷布団を一枚敷いただけでは、すのこの硬さがダイレクトに体に伝わり、痛みを感じることがあります。ニトリの製品を選ぶ際は、フレームの特性を理解し、それに合った十分な厚みと硬さを持つマットレスや敷布団を組み合わせることが、満足度を高める上で非常に重要になります。
予算を抑えたい人向けの1万円台モデル

「できるだけ費用は抑えたい、でも最低限の寝心地は確保したい」と考える方にとって、1万円台の価格帯は、魅力的な選択肢が豊富に存在するボリュームゾーンです。この価格帯で賢く、満足度の高い製品を選ぶためのポイントを紹介します。
1万円台の製品は、機能を絞ったシンプルなモデルが中心となります。例えば、リクライニング機能のない、すのこやメッシュタイプのフレームが主な選択肢です。ニトリの「シングル 折りたたみ桐すのこパイプベッド (BLNC)」のような製品は1万円台前半で購入可能で、通気性の良いすのこ仕様という、快適な睡眠環境に欠かせない基本性能はしっかり押さえています。
この価格帯で寝心地を格段に向上させるための賢い戦略は、ベッド本体の予算をある程度抑え、浮いた数千円で質の良い「マットレスパッド」や「トッパー」を追加投資することです。マットレスパッドやトッパーを選ぶ際は、厚みが4cm以上あり、体圧分散性に優れた高反発タイプを選ぶと良いでしょう。これにより、安価なベッドの弱点である底付き感を補い、寝心地を格段に向上させることができます。フレームとトッパーを合わせても総額が2万円以内に収まる組み合わせは多く、賢い予算配分と言えるでしょう。
また、Esluveのフレームのように、耐荷重が高く頑丈な作りのフレームを1万円台前半で見つけ、自分の体に合ったマットレスを別途組み合わせるという方法も、初期費用を抑えつつ、将来的な寝心地のカスタマイズ性を確保したいユーザーにとっては、非常に合理的な選択と言えます。
最高級モデルで得られるワンランク上の寝心地

日常的に使うものだからこそ、品質と快適性には一切妥協したくないという方には、価格帯が3万円以上となる高級モデルが視野に入ってきます。これらの製品は、決して安価ではありませんが、価格に見合うだけの、あるいはそれ以上の付加価値を提供してくれます。
代表的なブランドとして、日本の老舗ベッドメーカーである「フランスベッド」が挙げられます。同社の折りたたみマットレス「フォールドエアー」が採用する「高密度連続スプリング」は、一本の鋼線を高密度に編み上げることで、面全体で体を支える構造になっています。これにより、体の特定の部分だけが沈み込む「点」での落ち込みを防ぎ、体圧を理想的に分散させます。寝返りを打ってもスプリング全体が連動して振動を吸収するため、安定感があり、きしみ音も発生しにくいという利点があります。腰痛持ちのユーザーからは「朝の目覚めが違う」と高い評価を受けています。
高級モデルの特徴は、マットレスの素材や構造だけに留まりません。フレームの素材がより上質であったり、より静かでスムーズな電動リクライニング機能が搭載されていたりします。リモコン一つで背中や脚の角度を無段階に調整できる電動ベッドは、起き上がる際の体の負担を劇的に軽減してくれるため、特に体に痛みを抱える方やご高齢の方にとって、その価値は計り知れません。
また、長期保証が付いている製品が多いのも、高級モデルならではの安心材料です。初期投資は高くなりますが、優れた耐久性により長く快適に使い続けられることを考えれば、結果的にコストパフォーマンスが高い選択となる場合もあります。
まとめ:折りたたみベッド寝心地重視の最適解
この記事では、寝心地を重視した折りたたみベッドの選び方について、多角的に解説してきました。最後に、後悔しない一台を見つけるための重要なポイントをまとめます。
- 寝心地の鍵はマットレスの硬さが握る
- 腰痛対策には体が沈み込みすぎない高反発タイプが基本
- 低反発は寝返りを妨げ、腰痛を悪化させる可能性に注意
- デメリットとしてきしみ音や耐久性の問題は事前に把握する
- 失敗しないためには耐荷重の確認が不可欠
- 耐荷重は体重の1.5倍から2倍以上を目安に選ぶ
- 布団を乗せたままたためるタイプは家事の時短と衛生管理に貢献
- 室内で布団を干せる機能は日本の気候で特に有効
- アイリスオーヤマは機能性マットレス一体型で定評がある
- ニトリは店舗で実物を確認できる点が大きな強み
- 山善は優れたコストパフォーマンスで人気
- 1万円台で選ぶならフレームに投資しマットレスパッドを追加する戦略も有効
- 最高級モデルは優れた素材と長期的な快適性を提供する
- 自分のライフスタイルと健康状態に合った一台を選ぶことが最も大切
- 購入前には必ず最新のユーザーレビューを確認する



